新丸子駅から徒歩3分の好立地に位置する丸子橋卓球スタジオ。神奈川県川崎市の朝日多摩川マンションの2階の一室にあるこの隠れ家的な卓球スタジオは、パラ卓球で日本代表監督を務めた経験もある新井卓将さんが2003年にオープンしたものだ。
今回は新井さんにインタビューを実施し、卓球スタジオをオープンするまでの経緯や、卓球への思いなどについて語ってもらった。
- 目次
- ダンスをモデルに作った「スタジオ」 2003年にオープン
- いろんなスタイルを教えられる「インストラクター」
- 自分の卓球スタジオ設立で「常識を変えたかった」
- きっかけはタマちゃん?「丸子橋」の理由
- 現役日本代表選手も指導 全国大会優勝者も
- 「少ない戦型や用具の技術に困っている方はぜひ」 >
ダンスをモデルに作った「スタジオ」 2003年にオープン
―新井さん、よろしくお願いいたします
よろしくお願いします。
―まずは新井さんがこの卓球スタジオを開設するまでの経緯というか、きっかけを教えていただけますか
丸子橋卓球スタジオをオープンしたのは19年前なのですが、当時、フリーで卓球インストラクターをやっていました。元々、「自分のスタジオというのを構えてやりたい」という思いを持っていました。フリーのインストラクターになる前は、卓球クラブでインストラクターをしていたのですが、そこで交通事故に遭い、大きなケガをしてしまいました。
ケガの影響もあり、その卓球クラブでインストラクターを続けられなくなってフリーに転身したのですが、当時、2000年とか2001年には「卓球スタジオ」というものはありませんでした。
そこで、私はダンスのインストラクターについて勉強を始めました。当時は「卓球のプロコーチ」という職業がない時代でしたので、「レッスン」「インストラクター」というと、大体はダンスとかエアロビクスや、スポーツクラブのイメージでした。そういった側面もあって、卓球コーチの勉強ではなく、他の分野のインストラクターについての勉強をしていました。
いろんなスタイルを教えられる「インストラクター」
―「コーチ」と「インストラクター」の違いはどういったところでしょうか?
卓球の戦型や用具はたくさんありますが、「コーチ」は自分の考え方、スタイルを生徒さんに教えるというのが一般的だと思うんです。(他のスタイルが)分からないというのもありますし。
「インストラクター」は、いろんなスタイルがあるのであれば、そのスタイルをきちんと習得して、見本になりながらレッスンをする必要があると思います。例えば、1対1でレッスンをしている時にいろんなスタイルを表現することができれば対戦相手の対策にもなるし、見本にもなれる。そういうこともあって、「卓球インストラクター」としてすべてのスタイルを教えられるように、表現できるように、「インストラクター」にこだわってやっています。
卓球をプレーしなくても「コーチ」をすることはできるじゃないですか。「インストラクター」は誰でもできるものではないと思っています。
―どうやっていろいろな種類のスタイルを習得されたんですか?
先ほど言ったように、大きな事故に遭ってケガを負い、1年間卓球ができなかった期間がありました。私は右利きなのですが、右手をケガして、右手に障害が残ってしまって、ちゃんと動かすことができなくなってしまいました。
でも、その時に「チャンスじゃん」って思って。私はシェークだったのですが、右手のケガでシェークを持つことができないので、リハビリ中にペンホルダーを練習しました。他にも左手で練習したり、入院中に練習メニューやいろいろなことを考えました。そこから2、3年間、ほぼリハビリみたいな感じでしたが、その過程でいろんな戦型・用具を習得していきました。
自分の卓球スタジオ設立で「常識を変えたかった」
―「卓球スタジオ」と「卓球場」の違いというのはどういった部分でしょうか?
例えば、ダンスでは練習場所のことを「スタジオ」と呼びますよね。当時からメディアの仕事などにも携わる機会がある中で、「『スタジオ』という名前でやれば卓球のイメージも変わるかな」という思いがありました。
どちらにせよ、(スペース的に)「卓球場」のような卓球台が何台もあるようなイメージの規模は無理だったので、小規模でプライベートな空間というか、自分の「卓球スタジオ」を開設したいなと思っていました。
「スタジオ」というのは仕事場という意味でもあるし、あとは表現する場だったり、何かを作っていくっていうクリエイティブな場所だったり、あとは稽古をする稽古場みたいなイメージがありますよね。ただ単に卓球だけをする「卓球場」ではなくて、「スタジオ」で撮影したりして、そこで輝く人もいます。「スタジオ入り」とか言うとかっこいいなと思ったりもしていました(笑)。当時、卓球界に「スタジオ」という概念がなかったので。
常識を変えたいという思いがあって、「スタジオ」と「インストラクター」という名前をつけて、卓球を何とか変えたいと思ってやってきました。
きっかけはタマちゃん?「丸子橋」の理由
―スタジオの名前に「丸子橋」と付けたのはなぜでしょうか?
私が元々この近くにある信号器材株式会社という実業団の出身ということもあり、この辺りの土地が好きでした。そういった経緯で新丸子という土地に卓球スタジオを設立しました。「丸子橋」と付けたのは本当にしょうもない話ですけど、当時、アザラシの「タマちゃん」っていたじゃないですか。「タマちゃん」が丸子橋にいたんですよ(笑)。
それで、(テレビのリポーターが)「丸子橋から、お送りしました」みたいな感じでリポートをしていたりして。その時に「○○橋って響きがいいな」と思いました。「新丸子」ではなく「丸子橋」がいいなと。それに、この辺りの神奈川の人にも東京の人にも、「丸子橋」というのはよく知られた橋でもあったので、そういうこともあって「丸子橋」と付けました。
―営業は基本的にはレッスンのみですか?
基本的にはレッスンのみですね。個人レッスンやグループレッスン、ジュニア教室、あとはジュニアチームの母体というか、練習場という形で営業しています。営業時間なども決めていないです。定休日もないですし、レッスンの予約次第という形です。レッスンは完全予約制という形を取っています。
現役日本代表選手も指導 全国大会優勝者も
―どういったお客様がいらっしゃることが多いですか?
幼児から90歳の高齢者まで、いろんな方が来られます。夕方からはジュニア教室に加え、「選手コース」というジュニアチームもやっているので、小学生、中学生の受講者が来ることも多いですね。
―これまで教えられてきた生徒さんはどういった成績を残されていますか?
うちに所属している子供たちで言うと、全国大会上位クラスですかね。所属選手から日本代表も数人輩出していますし、現日本代表選手の指導もしています。その他ではマスターズやラージボールでの全国大会優勝や上位の成績も残しています。
ただ、高齢者なら健康目的だったり、タレントさんなら撮影や企画目的だったり、顧問の先生なら指導方法だったりと様々な目的をもった方々がスタジオにいらっしゃるので、大会成績だけでなく、それぞれの目的や目標の達成をいつも目指しています。
―卓球の指導をする上でのモットーというか、信条を教えていただけますか。
「目配り気配り心配り球配り」と(壁に)書いていますけど、それはオープンしたときくらいからずっと貼ってあります。「目配り気配り心配り」があっての「球配り」というのは、レッスンを受ける側でもそうですし、レッスンをする側である私たちにも言えることですね。
「少ない戦型や用具の技術に困っている方はぜひ」
―最後に丸子橋卓球スタジオのアピールポイントを教えてください
インストラクターなので、良いレッスンをするために、いろんな用具を揃えています。さまざまなご要望にお応えすることもできますし、生徒さんが想像しているものよりも「もっとすごいプレーができるように」というのは常に思っていることです。そのためのレッスンメニューだったり、アプローチもできるように準備をしています。
私自身のことで言うと、JSPO公認卓球コーチ4(上級)、JPSA障がい者スポーツコーチ、卓球療法士、メンタルトレーニングスペシャリストなど、いろいろな資格を持っています。卓球のプレーヤーに必要な要素である「心・技・体」などに関しては、それなりに準備できていると思います。
さまざまなご要望にお応えしたり、さまざまな提案をすることもできるので、相当便利だと思います(笑)。少ない戦型の方や用具や技術に困っている方は、ぜひお越しいただきたいですね。
―ありがとうございました
ありがとうございました。
超一流の卓球インストラクターとしてだけではなく、元祖卓球YouTuberとしての活動や卓球パフォーマーとしてのメディア出演など、様々な形で卓球界に貢献している新井さん。
右手の大怪我というピンチをポジティブにとらえ、様々な戦型や用具をマスター。「コーチ」ではなく「インストラクター」としてその人に合わせたレッスンや、その人の個性を見抜き可能性を最大限に伸ばす指導方法。卓球への飽くなき探求心とストイックな姿勢が新井さんのすごさなのだと改めて実感した。
もう一段上のステップを目指したい卓球人は是非とも「丸子橋卓球スタジオ」で「秘密のレッスン」を積んでみてほしい。
【丸子橋卓球スタジオ】
住所:〒211-0006 神奈川県川崎市中原区丸子通1丁目636−4 朝日多摩川マンション215号室
電話:090-4202-1709
ウェブサイト:https://www.tacshow.net/
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