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  • 投稿日

    2022/12/16

  • 技術・練習方法

【塩野真人さん監修】卓球のカットマンについて徹底解説!【練習方法からおすすめ用具まで】

 卓球には攻撃的な戦術と守備的な戦術が存在する。守りに特化した戦型の代表例が「カットマン」だ。ボールをとらえるときに強い下回転をかけるスイングが、ボールを切るような動きに似ていることから、そう呼ばれている。テニスやバドミントンなど他のラケット競技とは異なり、卓球は球の回転が勝敗への大きなカギを握っている。そのため、カットを多用し大きな下回転を生み出すカットマンという守備的なスタイルが存在しているのだ。

 今回はそんなカットマンという戦型について、元日本代表であり2013年のITTFワールドツアージャパンオープン男子シングルス優勝の経験もある塩野真人さん(STIGA)が徹底解説!日本を代表するカットマンである塩野さんに、カットマンという戦型の特徴やおすすめポイント、上達するためのコツや練習方法、おすすめの用具などについて分かりやすく解説をしていただきます。

塩野真人氏
監修

塩野真人氏

1986年4月30日36歳。埼玉県入間市出身。狭山ヶ丘高校、早稲田大学卒業後、東京アートに入社し8年間プレー。ジャパンオープン優勝、世界選手権団体銅メダル。世界ランク最高23位。現役引退後、スティガスポーツジャパン株式会社に入社。

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カットマンというスタイル

 カットマンは守備的な戦型です。カットで粘りながら相手からの甘いボールを待ち、攻撃していくというのがカットマンの基本的な戦術です。相手に打たせてミスを誘ったり、ラリーの中のいろんな変化で点を取ったり粘ったりと試合を進めていきます。しかし今のカットマンのスタイルは守備だけではなくて、ガンガン攻めていく選手も増えていますね。

カットマンの魅力

 私がカットマンになったきっかけは、指導者だった父からの勧めがあったからです。卓球を始めたころ、いろいろな戦型を試してみた中で、カットマンはやっぱり難しかった。また、卓球はその他の競技に比べて「回転」という要素がかなり大きく結果に影響していきます。強い回転をかけられるカットマンという戦型は、そういう意味ではとても魅力的な戦型だと思います。

 カットマンはいろんな方におすすめできる戦型です。背が高くてリーチが長くて我慢強い選手にはもちろん向いていますし、運動神経が良くて動き回るすばしっこいタイプの選手にも合うと思います。

カットマンのメリット・デメリット

 カットマンのメリットとして挙げられるのは、まずカット打ちが苦手な選手が相手に対して試合を優位に進められることです。攻撃型の選手との対戦はめっぽう強いのに、カットマンに対しては苦手意識がある、という選手もいたりしますからね。そういった意味では、団体戦などでも重宝されやすいということもあります。部内などでもカット打ちを練習したいという選手も出てくるでしょうし、カットマン自体も少ないので重宝されやすいのではないかなと思います。

 デメリットに関しては、あまり感じたことはありません。カットマンはカットもできるし、攻撃もできるので自由な戦型です。また、試合会場などでも目立つ戦型ではあるので、観客から応援されやすい、観客を盛り上げることができる戦型というメリットもあると思います。

 ただ、観客の方が感情移入してくださるだけに、ミスが出たとき「あぁ~」という空気になることが多いです。注目を集めやすい分、ミスをするとメンタルに来るというか(笑)。そこはメリットでもあり、デメリットにもなり得ると思います。

上達するための練習方法

 他の戦型の練習でもいえることではありますが、カットマンは反復練習がより必要になってくる戦型です。台から離れてプレーすることが多いので、距離感をつかむのが難しい戦型です。習得するために時間がかかる分、反復練習は欠かせません。

 まずは1つのコースで続けられる練習から始めてフォームを固め、その後に前後の動きなどの練習をしていくとよいと思います。フォームが固まった後は、攻撃の練習をしてもいいですし、回転のかけ方を最初に習得すると上達は早いのではないかと思います。

 あとは、回転のかかっているボールと回転があまりかかっていないボールのカットの差をすごく出したりとか、その回転の変化の差をわかりづらくしていくために、最初は思い切り「切る」ような練習をたくさんしました。なので、最初は回転をかけることを楽しむような、単純なことから始めていくのがおすすめです。

 カットマンにとって「ツッツキ」はとてもよく使う技術ですし、ツッツキをうまく使えるようになると試合でも勝てるようになってくると思います。私はツッツキをすごく練習しましたし、だからこそ世界で戦えたのだと思っています。

 打球練習以外だと、ジャンプ系の練習トレーニングはすごく重要になってきます。左右に大きく素早く跳ぶスケートのような動きを反復することで、どんなボールにも反応できるようになります。なるべく自分の一番いい打球点で打てるように足を動かす意識が大切です。

 あとは、やはり体力をつけることも非常に重要なので走り込みもしていました。体力があるに越したことはないので、一日に何キロも走っていましたね。

カットマンにおすすめの用具

 もちろんそれぞれの戦型だったり、戦術によって用具の選び方が変わりますが、やはり自分の手のひらに近い感覚で打てる用具選びは大切だと思います。なぜなら自分が思い描いた打球を送ることで感覚が身に付き距離感も掴んでいき成長につながるからです。

 ラケットでいうと私がSTIGAで開発した「ディフェンシブプロ」と「ディフェンシブクラシック」というものがあるんですけど、この2つの製品はその辺りのことを考えながら作りましたね。

 ラバーに関しては、プレースタイルやどこを目指すかによって変わってくると思います。粘る戦型だったら粒高ラバー、変化と粘りを両立させたいなら表や表ソフトなどがいいかと思います。何でもやりたいという人は裏裏もありですね。基本的には、回転かけやすいラバーを選んだ方がいいと思っていて、回転をかけにくいラバーや裏ソフトラバーでも少し固めのものを選んだ方がいいかなと思います。ラバーが柔らかいと安定はするんですけど、自分で切る感覚というのが食い込みすぎてしまうときもあるので。しっかり切る感覚があるラバーがおすすめです。

 STIGAでいうと、「DNAフューチャー」というラバーがあって、初級者・中級者におすすめのラバーになります。「DNAフューチャー」は47.5度という硬度なのですが、初級者のカットマンの方には若干硬めのラバーの方がおすすめかと思います。中級者・上級者向けだったら「DNA プロH」というラバーもおすすめです。「DNAシリーズ」で私が使用しているのは「DRAGON GRIP」というラバーです。このラバーは回転もかけやすくて、弾みとのバランスもいいのが特徴です。

 粘着系ラバーもいいと思います。粘着系ラバーを使用すると回転をかけようとしていない時でも自然と多少の回転がかかってくれますし、扱いやすいと思います。

塩野さんが使用しているラケット

【まとめ】「回転」という魅力を最大限に生かせる

 いかがでしたか?今回は日本を代表するカットマンである塩野真人さんにカットマンという戦型に関するあらゆることを解説していただきました。攻撃型の選手が主流となっている現在の卓球界で、守備的に戦うカットマンは貴重な存在にもなってきています。

 カットマンはボールの回転という卓球の魅力を最大限にいかせる戦型ですので、ぜひともこの記事を参考にチャレンジしてみてください!

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