2000年に設立された礼武卓球道場。東京・葛西にあるこの卓球場は、延べ180人の教え子たちが全国大会に出場するなど輝かしい実績を誇っている。
今回はそんな卓球教室のメッカともいえる礼武卓球道場の創業者・原田隆雅さんにインタビューを行い、指導の極意や卓球への思い、今後の展望やビジョンなどについてたっぷりとお伺いしていく。
実業団引退後、後進育成の道に
―よろしくお願いします。まずは原田さんの経歴を教えてください
よろしくお願いします。卓球を始めたのは小学校1年生の時で、地元の家の近所に卓球場ができたっていうのと、うちの母親が卓球をやっていたっていうので、おそらく(卓球を始めたきっかけは)家族のコミュニケーションっていうのが最初だったと思います。無理やりやらされた感じですね、最初は(笑)
―卓球場設立に至るまではどういう流れになるんですか
卓球を始めて面白くなって、レベルが上がって実業団まで行けて。「教える」っていうのは自分の中で苦手ではなくて、卓球のことをしゃべるのはそんなに苦ではなかったので。「ひょっとしたら(教えることは)自分にはできることなのかな」っていうのは最初からあったんですよ。ただ、それで(若い選手を)育成しようみたいなことは当然なくて。
教えることはできるという気持ちはあったので、それで「会社を辞めたらいつか(選手育成を)やってみたいな」という思いは実業団時代にありましたね。
―それで卓球場を設立されたわけですが、この「礼武卓球道場」にはどんな思いが込められていますか
まず1つは子供たちの育成の場として、ここにいたことが子供たちにとって自信になったりとか、卓球に関係がないことでも「こんなこと習ったな」とか「すごい良かったな」とか、そういう場にしたいなと思っていて。「ここに来たからよかった」とか、子供たちが大人になった時に「自分の子供をあそこで学ばせたい」とか。そういう気持ちになってくれたらうれしいなと思います。
今勝つより「後から伸びるプレイスタイルを」
―これまでかなりたくさんの選手を指導されてきたと思いますが、指導実績などを教えていただけますか
全国大会に延べ180人くらい行きましたね。
―すごいですね!
同じ子が出たりもしてますけど、礼武卓球道場から全国大会に行けたのは175人とか、それぐらいになってっていうのは1つ自分の中で10年間やってきて、まあまあな数字が出ているのかなと思います。
その中で(教え子が)日本一になったこともありますし、(全国)2位とかベスト16と32、要はトップとトップの1つ手前と全国大会に出るっていう三層くらいに分かれていて。あとは県大会から全国大会を目指すっていうところの層もいたり。そのあたりには毎年絡めている感じですかね。日本一は本当に、なかなかない話なんですけど。それを経験させてもらえたのはありがたい話ですね。
―本当に素晴らしい実績だと思うんですけど、教え子を指導する中で大事にしていることなどはありますか
「今勝ってもしょうがない」といつも思っていまして。「あとから伸びていけるプレイスタイルを育てる」というのは僕の1つの大きい目標です。
小学生で勝たせようと思ったら、実は方法はいくらでもあるんですよ。「これとこれでやっておけばある程度は行く」というのは分かっていて。それはみんなあるレベルの指導者まで行くと「これやっておけば大体勝てる」というのはあるんですけど、そうしない努力をしています。それって結局、後々苦しむのも見えていますし、時間をかけてしっかりとした選手を育てるというのが僕らの役割なんじゃないかなと思ってやっていますね。
あと精神的な部分でいうと、やっぱりこの卓球場はいろいろな人の力によって支えられて出来ているものなので、自分自身もそれを感謝しながらやらなければいけないし、子供たちも親の応援があったりとか、周りの仲間がいることで自分がそこに存在しているっていうのを常々(子供たちに)問いかけながらやっていますね。
打ち方よりも体の使い方を指導
―レッスンを見ていると、体の使い方なども細かく指導されていますよね
もちろんです。そこが技術指導のベースですね。僕の卓球を教える中では打ち方よりも体の使い方っていうのを一番に教えています。やっぱり他のスポーツでもちゃんとやれている子がいきなり卓球を始めたら意外とできたりするんですよね、ちゃんとした動きが。基本となっている動きっていうのは、スポーツで共通している部分はたくさんあると思うので。そういうことを自分も勉強しながら教えるようにしていますね。
足りないところを伸ばすプライベートレッスン
―礼武卓球道場ではどういったレッスンコースがありますか
まず大人の方は1対1のプライベートレッスンがあるのと、あと私の場合は「こういうのをやりたいです」っていうのはあんまり受け入れないんです。自分がその人を見て「こういうところが足りないからこれをやりましょう」という指導方針なんですね。
わがままなんですけど、あまり「無駄な練習をしてもしょうがないじゃん」というのはあって、その人が「いろんな技術を覚えたいです」という目的で来る場合はOKなんですけど、「試合で勝ちたいです」という人に関しては「それはやっても意味ないです」ってはっきり言うようにしています。それが僕のプライベートレッスンです。
あとは、パートナーレッスンというのがあるんですよ。これは他のスタッフが担当するんですけど、他のスタッフの指導の場合はお客さんがやりたいことをできるようにしていくっていう。(お客さんが)やりたいことをしっかりと教えるのがパートナーレッスンで、他のインストラクターの個人レッスンもそういう形式ですね。
あとはグループレッスン、教室があります。今はコロナであまりうまくできていないですけど。コーチが何人か並んで、お客さん同士は打たないので、(お客さん同士の)レベルが違っても全然気にせず来ていただくことができる。大体グループレッスンをやられる方は、自分だけちょっと技術がなかったら他の人に迷惑をかけるんじゃないかなっていう考えの方が結構いらっしゃって。そうならないようにコーチとしかやらないっていう。コーチを2,3人並べてやるっていうのが、大人の2つ目のレッスンですね。
あとは、複数人でレッスンを受けるというものもあって、それは例えば「2人一緒に受けます」とか。そういう形式のプライベートレッスンも大人の場合はやらせていただいています。あとは大会を主催しているので、大人の方が出たいっていうときにはうちの大会を紹介させていただくという形ですね。
(大人のレッスンの)曜日は火曜日から日曜日までです。曜日によってはプライベートレッスンしかない日もありますけど、この春ぐらいから教室のグループレッスンを増やしたいなというのは思っていて、「毎日教室に来てもできますよ」というのを将来的にはやりたいなと思っています。トレーニングジムじゃないですけど、フリーでぱっと来てレッスンを受けられるような形の教室も考えています。
子供のレッスンの場合は、週に1回、習い事としてやる教室というのがあります。これは月曜日にやっています。これは育成をするのではなくて、本当に卓球を楽しむという会です。あとは火曜日から日曜日までは、選手としてやりたい子と、「月曜日のレッスンに参加するよりはもうちょっと頑張りたいけど、選手としてはまだそこまで気持ちが入っていない」という子が来れるコースと2つに分かれています。
待合室はバリ風 お客さんがくつろげる場所に
―施設についても教えてください。卓球場としてはかなり広いですよね
そうですね、70坪あるのでかなり大きいですね。僕の知っている限りでは都内でも5本に入るんじゃないかなと思っているんですけど。僕が一番こだわったのが待合室で、あそこはくつろいだり遊べるような場所になっています。大人の人がテレビを見たり、たまに休みの日はみんなで集まってご飯食べたりとか、そういう場所です。ここ(卓球場)とのギャップを出そうと思って、待合室はバリ風にしてあるんですよ。
あとはシャワー室があって、トイレがあって、トイレは結構こだわって作っていますね。もともと小さい2つのトイレだったんですけど、そこを1つの大きいトイレにして。そこに観葉植物を置いたりだとか、1つのスペースとしてトイレを改装したっていうのがありますね。
あとはカメラを何台か設置しているんですけど、これは僕が遠方から指示を出せるようにです。例えば、合宿に行ったりだとか試合で不在になっていても道場の様子が見えて、カメラから音声が出て、僕の指示ができるようになっています。そういう仕掛けはしていますね。
―スタッフさんは何人ぐらいいらっしゃいますか
今、店舗が2つ実はあって、1つは西船橋、もう1つはこちらなんですけど、(2店舗を)行ったり来たりしているスタッフとここ(葛西)専属のスタッフと、西船橋の店舗の専属のスタッフと分かれています。葛西の店舗に4名、西船橋の店舗に4名です。大体10人弱くらいのスタッフで2店舗を運営している感じです。
どんなレベルにも対応「楽しい場所なので気楽に来ていただければ」
―礼武卓球道場のPRポイントがあれば教えてください
どの年齢の人でも、どのレベルの人が来ても対応できます。僕はどの分野のレッスンも得意なので、それが一番のPRポイントですかね。初心者でも全然大丈夫ですし、小さい子でも大丈夫ですし。強みはそこだと思います。趣味も多いので、雑談も大丈夫です(笑)
―最後にこれから礼武卓球道場にいらっしゃるお客さんへのメッセージをお願いします
礼武卓球道場はどんな角度からでも楽しめる卓球場だと思います。例えば、試合で勝ちたいでもいいですし、技術を覚えたいでもいいですし。どんな些細なことでも、卓球に関わることであれば僕らはなんでも答えられるので。雰囲気は(道場みたいで)こんな感じで来づらいかもしれないですけど、門を開ければ楽しい場所なので気楽に来ていただければなと思います。
―ありがとうございました
ありがとうございました。
【礼武卓球道場】
住所:〒134-0083 東京都江戸川区中葛西2丁目24−12 丸栄輸送3F
東京メトロ東西線 葛西駅 より徒歩7分
電話:03-3804-0402
営業時間:レッスン状況によって異なります。
詳しくはこちらからご確認ください。
ウェブサイト:http://revedojo.jp/
Twitter:https://twitter.com/revedojo
【礼武道場 船橋校】
住所:〒273-0031 千葉県船橋市西船4-16-1 幸伸ビル1階
西船橋駅徒歩5分 京成西船駅徒歩2分
電話:070-8386-4007
ウェブサイト:https://backspin-tokyo.com/
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