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  • 投稿日

    2022/4/8

  • コラム

【学校紹介】森薗美月さんを外部指導員に 島田樟誠高校、目標の全国大会出場へ万全の体制

 ミングルス編集部が全国各地の学校の卓球部に潜入する「学校紹介」のコーナー。今回は静岡県島田市の島田樟誠高校を紹介していきます。

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創部47年の歴史 過去には全国大会出場者も

 設立から96年の歴史を誇る島田樟誠高校。男子卓球部は1975年に創部され、過去には全国大会出場者も輩出するなど、静岡県内でも強豪校として知られる。4年前の男女共学化を機に、女子卓球部も新たに創部。今年の全国高校選抜大会では団体戦で東海大会に出場するなど、男子卓球部に負けず劣らずの輝かしい成績を残している。

 この4月からはさらなる強化を目指し、卓球部の指導体制を一新。これまで男子卓球部の顧問をしていた児玉正樹監督が男女両チームの「総監督」を務め、男子の顧問は大石雄暉監督が、女子の顧問は増田友輔監督が担当することになった。さらに、2016年の全日本社会人卓球選手権女子シングルスでの優勝経験を持つ森薗美月さんを外部指導員として迎えるなど、盤石の強化体制を築いている。

 「卓球部はエアコンの完備された専用の練習場もあり、非常に恵まれた環境の中で生徒が日々練習に励んでいます。そういった施設の充実に加え、4月からは森薗美月さんにコーチとして正式に指導をお願いしています。技術的にハイレベルな指導と、メンタル的な部分も重ねて指導していただければと期待しています」と杉本寿久校長も期待を寄せる。

 「施設の充実と指導体制の充実と、この2つを進めていっているということですね」。

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森薗コーチ就任 きっかけは昨年の講演会

 1月の全日本選手権を最後に、現役生活にピリオドを打った森薗美月さん。島田樟誠高校のコーチ就任のきっかけは昨年の講習会だったという。

 「昨年、美月コーチが講習会で静岡に来た時に本校にも来ていただきました。その中で、講習会が終わった後の生徒の表情や反応がよかったんです。『これからも美月コーチに教わりたい』という話が生徒たちから出ていました」と女子卓球部顧問の増田監督は話す。

 「FPC株式会社さんの方から森薗美月さんとのコーチ契約の提案があり、学校に外部指導員として正式に契約していただきました。今後は定期的にサポートしていただく形になります」。

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指導について話す森薗コーチと増田監督 

選手と指導者の違い「言語化が難しい」

 指導者として働くのは今回が初めてだという森薗コーチ。なぜ、外部指導員のオファーを受けようと思ったのだろうか。練習の合間にインタビューをさせてもらった。

 「去年の夏の講習会の時に『この学校の選手は頑張るな』といういい印象を持ちました。後日、ご縁があって『ここで教えてほしい』と話をいただきまして。私ももう今年の全日本選手権で(選手を)引退することを決めていたので、タイミングもよく教えることができるようになりました」。

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 それまで自身が第一線で活躍してきた選手とは全く違う立場。指導者としての難しさや楽しさを日々実感しているという。

 「(自分が)選手でやっていたときは当たり前のようにできていたことが、生徒たちはまだ経験もないので、できないことのほうが多い。感覚でやっていたことを言語化して、『どういう風にしたらこの子たちにわかってもらえるんだろう』って考えることが、いま一番難しいなと思っています」。

 「教える子たちの性格を見たりだとか、生徒たちのレベルに合わせて指導をしていきたいです。指導を始めて数日ですけど、生徒の子たちができなかったことが少しずつできるようになっていくところを見るのが楽しいです」。

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オンライン指導にも挑戦「バランスよくやっていきたい」

 普段は沖縄県を拠点に活動をしている森薗コーチ。外部指導員としては定期的に島田樟誠高校を訪れて指導をするほか、オンライン指導なども行いながら、こまめに連携を取り、チームとの関係を深めていく。

 「卓球以外の仕事もやっているので、沖縄での生活はバランスよくやってきたいと思っています。練習指導のペースは決めていないです。生徒が困っていることがあればいつでも聞いてほしいです。困っていることがなくて充実している状態なのに、時期を決めて機械的に指導をするっていうのは生徒にとっても指導者にとってもよくないので。選手生徒の自主性を重んじる形でやっていきたいなと思っています」。

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目標設定も手助け「一人一人に寄り添いながら指導を」

 個人戦、団体戦ともに全国大会出場を目標に掲げる島田樟誠高校卓球部。

 その目標を達成するため、森薗コーチがチームに取り入れたのが「目標達成シート」の作成だ。大きな目標を設定し、それを達成するためには何が必要なのかを細かく分析していくこの作業。目標を達成するためのプロセスを明確にするため、プロのアスリートにも取り入れられている方法だ。

 「目標設定の仕方とか、そういったことは絶対に社会に出てからも役立つことなので。そこを学んでもらって幸せになってもらうことが私の目標です。それがインターハイに出場することかもしれないし、プロになることかもしれないし、卓球以外のことかもしれない。一人一人に寄り添いながら指導していきたいです」。

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「立ち位置的には『みんなのお姉さん』になっていたい」

 今年26歳になる森薗コーチは、他のコーチ陣に比べ生徒たちとの年齢も近い。卓球以外の部分でも生徒の助けになりたいと意気込みを見せる。

 「私は生徒たちのやりたいことの手助けをする。みんなは今『インターハイに出場したい』という目標を持っていますが、それは生半可な気持ちでできることではない。なので、私もその気持ちに応じて指導ができるように頑張りたいなと思っています」。

 「立ち位置的には『みんなのお姉さん』になっていたいんです(笑)。困っていることを助けたい。いい緩衝材になれればいいなと思っています。卓球の指導以外でも生徒たちと話したりしていきたいですね」。

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文武両道の卓球部「人として成長してもらうのが一番」

 指導体制の強化によって、充実の春を迎えた島田樟誠高校卓球部。3年生を中心に夏のインターハイに向けて練習を重ねていく。

 「卓球部員には、いろんな意味でリーダーになってほしいです」。

 杉本校長は語る。

「一生懸命やることで他の生徒の手本になってほしいです。部活動の推進が本校の教育方針の一つに入っているんです。それは勝利至上主義というものではなく、3年間の部活動を通して人として成長してもらうというのが一番大きな目標です」。

「これから島田樟誠高校に来る子たちには、自分の目標を持って頑張れる生徒に来てもらいたい。高校の3年間は肉体的にも精神的にも大きく成長する時期だと思うんですよ。そういう時期は何かに打ち込むことで、自分の可能性が見えてくる。成長できる期間です。夢を持っている生徒にぜひ来てもらいたいですね」。

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卓球競技者としてだけではなく、人間としても成長できる環境づくりを進める島田樟誠高校。今後、どんな素晴らしい選手が生まれていくのか楽しみだ。

島田樟誠高校ガッツ