6月22日に開幕する2022年度前期日本卓球リーグ。男子1部の日野キングフィッシャーズは2021年度の前期日本卓球リーグで6位、後期日本卓球リーグでは最下位に終わるなど、苦しい戦いが続いていた。
今回、ミングルス編集部は日野キングフィッシャーズを前後編の2回に分けて特集。前編では、大きな期待を背負って加入した川上尚也・西康洋の新人コンビの活躍について取り上げた。
後編では、これまでチームを支えてきた岩崎栄光のコーチ就任や、昨年度のチームで主将を務めていた船本将志の選手とコーチの兼任、皆川朝選手の主将就任など、チームの「改革」について触れていく。
- 目次
- 岩崎コーチ「チームとしてしっかりとした体制に」
- 新主将に皆川「姿勢で見せることを心掛けたい」
- 船本前主将に同期の平野 サポート体制も万全
- 強化合宿で最後の追い込み いざ日本リーグへ挑む
- ―日本リーグに向けて各選手のコメント― >
岩崎コーチ「チームとしてしっかりとした体制に」
今年の日野キングフィッシャーズの強みは強力な新人選手の加入だけではない。
日本リーグのシングルス戦で通算48勝を挙げた岩崎が現役を引退し、コーチに就任。その他にも昨季主将を務めた船本が選手兼コーチとなり、所属4年目の皆川が新たに主将に就任するなど、体制が大きく変わったこともチームに好影響をもたらしている。
今年のチームについて岩崎コーチはこう語る。
「新人の西と川上は大学時代から非常にいい成績を残していた選手でした。そういったいい選手が下から入ってきたことで、チーム全体が刺激を受けてレベルアップはできていると思っています。
また、私自身も現役を退いて、主務やコーチとしてチームの裏方に尽力することができるようになりました。そういった意味では、チームとしてしっかりとした体制になってきているのかなと思います。
すごくバランスがいいというか、監督がいて、ちゃんと主務がいて、コーチがいて、選手がいてっていう体制は今までにはなかったので。そこは非常にいいことだと思います」。
新主将に皆川「姿勢で見せることを心掛けたい」
小鷹好夫監督は新主将に皆川を任命。「主将としての経験値を積ませたいなと思っています。彼も技術的には非常に良いものを昔から持っていますし、今年は自覚も出てきています。メンタル面では強くなっていると思います」と皆川のキャプテンシーに期待を寄せている。
実業団チームで主将を務めることについて、皆川は「社会人をマネジメントしなければいけないということの難しさを感じています」と正直な気持ちを吐露する。
「主将になるにあたって、大切にしなければいけないことが2つあると思っています。1つは自分の中でどういうチームを作っていきたいかというビジョンをしっかり持つこと。チームとして『Go To 宮崎』というスローガンを掲げていまして、その目標を達成するために必要なことを行っていくことが大切だと思っています。
もう一つは、他の選手に『姿勢』で見せるというのが主将としてとても大切だなと思っています。これまでの3年間でも、キャプテンの姿勢というのは、一部員としてすごく見ていたので、そこがしっかりしてるチームは強豪のチームになれると思います。私もそういうチームを目指して、『ビジョンをしっかり持って行動する』ということと、『姿勢で見せる』という2つのことを心がけていきたいと思います」。
「姿勢で見せる」という言葉を体現するかのように、皆川が主将として始めたことがある。
「チームノート」を作成し、部員一人一人にどんな対応をすればよいか、どんな声掛けやコミュニケーションを取っていけばよいかをまとめているという。
「それぞれの部員に対して『どういう風にアプローチすればその人の行動が変わるか』ということを自分なりに分析しています。細かくやらないと忘れてしまうので(笑)。1人1人の性格とかも考慮しながら日々対応をするようにしています」。
船本前主将に同期の平野 サポート体制も万全
そんな責任感の強い新主将をサポートする体制もしっかりと整っているのが今年の日野キングフィッシャーズだ。
選手とコーチを兼務することになった船本は、前主将として皆川をバックアップする。
「キャプテンの皆川を見守るのが僕の役目だと思っています。キャプテンの判断を尊重しつつ、何か思うところがあれば指摘するということを心掛けていますね」と船本は語る。皆川と同期の平野も「皆川がやらなくていい無駄な部分などは自分が引き受けるようにしていく」と主将のサポートを宣言する。
強化合宿で最後の追い込み いざ日本リーグへ挑む
新たな体制で挑む今回の日本リーグ。上位4位以上という目標を達成するために、練習も強化。リーグ戦1か月前から計画的に練習メニューを決め、戦術面の強化や体力的に追い込む期間を設定。6月上旬にはチームとして初めて強化合宿も行った。
「昨年、2部に落ちてしまったのですが、そのときに『練習量が足りないね』という話になりました。実際、日々の業務後ってあまり練習時間が取れないので。そこで、『日本リーグ前に合宿をしよう』という話になり、強化合宿を開催することになりました。チームとしての練習時間を長く取ることができました」と船本は笑顔を見せる。
いよいよ開幕の時を迎える前期日本リーグ。
「チームのモットーにもある通り、見ているみなさんに勇気と感動を与えたい」と皆川は闘志をみなぎらせる。
「強力な新人も入ってきて、チームの実力も上がっています。本当に見ごたえあるプレーを皆さんにお届けできるとは思っています。目標は4位以上に入ることと『Go To 宮崎』です。ファンのみなさんに元気を与えるようなプレーをしていきたいと思いますので、ぜひご注目ください」。
「新生・日野キングフィッシャーズ」がどんな快進撃を見せてくれるのか。成長した選手たちが、大舞台で羽ばたく姿が楽しみだ。
―日本リーグに向けて各選手のコメント―
【皆川朝】
卓球を始めてから「全国大会の表彰台に上がる」というのを目標にしてやってきた。4月に行われたビッグトーナメントで、ダブルスでベスト4に入り、初めて表彰台に上がることができました。今回の日本リーグではシングルスでも表彰台に上がれるように頑張りたいです。
【船本将志】
日本リーグでの今までの最高位は確か6位だったんですけど、まずは4位以上は必ず達成したいです。最終目標としては、「日本リーグ優勝」と「ファイナル4の団体戦優勝」なので、本当にそれに向けてチームとして頑張っていきたいです。個人としては、試合に出る機会が今回も多いと思うので、必ず全勝してチームに貢献したいなと思っています。
【平野晃生】
個人としての目標は1試合でも多く出場するというところです。チームとしても、ファイナル4の上位4チームに入るというところを目指してやってるので、自分が試合に出なかったとしても、必ず出ている人の勝利に繋がることを取り組んでいければなと思っています。
【遠藤竜馬】
個人、チームとしての目標はやっぱリ4位以上です。個人としては、出た試合には全て勝ちたいなと思っています。個人としてはラリーなどが得意なので、大きなラリーなどに注目してほしいです。
【弓取眞貴】
まずチームの目標としては、日本リーグ前期大会で上位ベスト4以上という目標にしています。個人としては、去年個人的に負け越しが多かったので、その経験を生かして勝ち越しで終わりたいなと思っています。
【西康洋】
チームとしての目標はベスト4以上に入ることですが、やっぱり一番は優勝を狙いたいです。学生の頃にすごい悔しい思いをしてきたので、心の中では優勝したいと思っているんですけど、その気持ちを出しすぎても絶対に勝てないので、うまくコントロールしていきたいと思います。
【川上尚也】
日野キングフィッシャーズに加入してから初めての団体戦なので、あまり緊張せずに試合に臨みたいです。チームの目標である4位以上を目指して、個人としても目標を持って戦いたいです。ダブルスでも出場する可能性があるので、自分が勝たせるぞという気持ちで試合に臨みたいと思います。
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