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  • 投稿日

    2022/9/2

  • コラム

シチズン時計“社内プレゼン”で弱点分析 前期日本リーグ優勝の裏側に迫る【特集前編】

 今年の6月に行われた2022年度前期日本卓球リーグ。男子1部のシチズン時計は、最高殊勲選手賞に輝いた御内健太郎やシングルス・ダブルスで計9勝をあげた主将の上村慶哉などの活躍もあり、6勝1敗で2018年度の後期以来の優勝を果たした。

 2021年度は前期・後期大会ともに5位に終わっていたシチズン時計が見せた快進撃。その成功の裏側にはどんな背景があったのか。今回、ミングルス編集部はシチズン時計に所属する御内、上村、酒井明日翔、三部航平の全4選手にインタビューを敢行。前後編の2回に渡ってチームの特集をお届けする。

 前編では、前期日本リーグ優勝を達成できた要因に迫る。

目次[ 閉じる ]

卓球部専用の体育館にトレーニングルーム 設備も抜群

 東京都西東京市に本社を構えるシチズン時計。広い敷地の中の一角に卓球部専用の練習施設がある。エアコン付きの広い体育館やトレーニングルームが完備され、卓球に打ち込むことができる最高の環境が用意されている。

 「環境に関しては他と比べてもトップだと思います」と語るのはチーム最年長で選手と監督を兼任する御内だ。

 「卓球部専用の体育館にトレーニングルームもありますし、会議室もあったりして、何でもできる環境が整っています。私が入社したときはもっと小さな体育館で練習をしていたんですけど、2016年に会社の方からさらに練習に打ち込める環境を作っていただきました。この環境でプレーできることって、本当にありがたいことだと思うんですよね。みんな感謝しながらプレーしていますし、環境に甘えず結果を出せるように日々頑張っています」。

シチズン時計監督兼選手の御内
シチズン時計卓球部専用の体育館

実業団選手権でも3位 「意識変わった」充実の前半戦

 今季からメンバー編成が変わり、選手4人で試合に挑んでいるシチズン時計。前期日本リーグとしては7期ぶりの優勝、その翌週に行われた全日本実業団選手権では準決勝でクローバー歯科カスピッツに1-3で敗れはしたものの3位に輝くなど、素晴らしい成績でシーズンの前半戦を締めくくった。

 チーム好調の要因はどんなところにあったのだろうか。

 「選手が4人になったというところ以外は特に変わったところはないですね」(酒井)

 「『ここは絶対変わったよね』みたいなところはあまりないですね。選手が5人から4人になったことで、全員が絶対に試合に出場しなければならなくなりました。なので、去年に比べて一人一人の自覚は出てきたと思います」(上村)

 選手たちに話を聞くと、意外にも今までと大きく変わった部分はないと口をそろえる。

記者の質問に答える酒井

 「4人しかいないですし、自分たちは全員出るっていう意識は変わったとは思います。一人一人が試合で力を出し切って、全員が仕事をしたというところですね。今までは能力的にもレベルが低いわけではなかったんですけど、勝ちきれない試合が多かった。そこが今回は普段から練習していることを試合でも出し切れたのだと思います」と御内は分析する。

 3年目の三部は、初戦で対戦したクローバー歯科カスピッツに3‐0で勝利できたことが優勝の流れを引き寄せたと振り返る。

 「クローバー歯科さんに3-0で勝てた初戦というのが、前期日本リーグ全体を通してかなり大事な一戦だったかなと思います。1戦1戦全員が『自分でもう1点を取る』という意識でやることが連勝に繋がり、優勝に繋がりました」。

上村・酒井ペアがダブルスで5勝1敗「うまく流れに乗れた」

 昨年は4勝3敗と決して強みとはいえなかったダブルス戦でも、今回は5勝1敗と奮闘。新しく組んだ上村・酒井ペアの活躍もあり、試合を優位に進めることができた。お互いが思っていることなどをその都度相手に伝え、しっかりとコミュニケーションを取ったことによっていいコンビネーションを生み出すことができた。

 酒井が「自分たちのやりたいことをやりながらもダブルスではうまく勝てた」と満足げに語れば、上村も「ペアリングを去年から変えて、最初の大会だったので不安もあったんですけど、うまく流れに乗ることができた」と笑顔を見せる。

 御内監督も「今回はすごくダブルスが安定していた」とダブルスペアの活躍を高く評価。

 「今までは結構ダブルスで負けることがあったんですけど、今回はそこがすごく安定していた。それがチームとしての精神的余裕を生んだのかなと思っています」と目を細めた。

練習中の酒井
練習中の上村

課題点データ化しパワーポイントで発表「見つめ直すいいきっかけに」

 2019年以降、なかなかリーグ戦で勝ち星を挙げられていなかったこともあり、プレー以外の部分では新たな取り組みも始めた。選手自らが勝てなかった試合を振り返り、敗因や反省点を分析。自身の成績や課題点をデータ化し、資料にまとめ、それを他の選手や社員に向けてパワーポイントなどで発表する機会などを作ったという。

 「最初は自分の弱みを人に見せるようで恥ずかしかったんですけど、やってみると自分のプレーを見つめ直すいいきっかけになりました」と上村は納得の表情で語る。

 「他の人に自分の課題を伝えることで、練習でも『しっかりやらなきゃ』という意識が芽生えますし、いい部分も悪い部分も自分で理解しながらプレーすることはすごく重要だと再認識しました。自分の課題とうまく向き合えるようになりましたね」。

課題点を発表することが自己分析につながったと話す上村

 課題ややるべきことが明確になったことで、思い切りよくプレーができるようになり、成績も向上。上村はシングルスで4勝1敗、ダブルスで5勝1敗とコート内外でチームを支え、優勝に大きく貢献した。

 御内監督も「上村の調子が良かったです。私が最高殊勲選手賞をもらったんですけど、上村が取ると思っていました」と主将に最大限の賛辞を贈った。

 シーズンの前半戦を4年ぶりの日本リーグ制覇という最高の形で終えたシチズン時計。後期日本リーグやファイナル4が控えている後半戦に向けて、チームとしてさらなる成長を目指していく。

 後編では、シーズン後半戦へ挑むチームの意気込みや目標などについて迫る。