「ユージくんの卓球部屋」はチャンネル登録者数約49,000人、総再生回数4億3000万回(※2022年12月時点)を誇る人気卓球YouTubeチャンネルだ。チャンネルを運営する櫻井勇治さんは卓球YouTuberとして活動するほか、自身の卓球場を拠点に卓球コーチをしたり、イベントや講習会に出演したり、時にはモデルとして仕事をするなど、その活躍の場は多岐にわたる。
今回、ミングルス編集部では櫻井さんをインタビュー。卓球との出会いや卓球YouTuberとして活動するようになったきっかけ、今後の展望などを深掘りしていく。
- 目次
- きっかけは児童館 中学では周りの影響で卓球部に
- 成績出始めた大学時代 コーチとして歩んだ社会人生活
- 運命の出会いからYouTubeメインの活動に
- 目標は全日本マスターズの部制覇 オフラインの活動も
- 関連記事 >
きっかけは児童館 中学では周りの影響で卓球部に
―櫻井さん、よろしくお願いいたします
櫻井 よろしくお願いします!
―まずは卓球を始めたきっかけを教えていただけますか?
櫻井 卓球始めたきっかけは、地元の近くに児童館があって、子供のころはそこでドッジボールやったりしていたんですね。そこは閉館する前の最後の15分間だけ卓球台を1台出してくれて、1台の卓球台で何十人も1球交代とかで遊んだりする時間があったんです。その時に僕も卓球をやったりしていて、「卓球って楽しいな」と思うようになりました。
中学生になったときに、児童館で一緒に遊んでいた子たちが先輩に居たりして、「お前も卓球部に入れよ」って誘ってくれて、中学生では卓球部に入りました。当時の僕は「卓球部に入りたい」という強い意志があったわけではなかったのですが、先輩たちや周りの友達もみんな卓球部に入っていたので、「じゃあ僕も入ろうかな」くらいの軽い気持ちで卓球部に入りました。
―中学生の時はしっかり卓球をやっていたんですか?
櫻井 いや、どちらかというと楽しく卓球をやっていました。部活も週に3,4回しかなかったので、休みの日は友達を誘ってみんなで自主練習なんかもしていましたね。やらされているというよりは、自分からやりたくて卓球をやっているような生活でした。
―高校時代も卓球は続けられていたんですよね?
櫻井 一応、卓球は続けていましたね。高校では中学の卓球部の仲間とはほぼバラバラになって、卓球部に入るかどうかは迷っていました。僕自身もサッカー部に入りたいなとか思っていましたし。あまり高校で卓球をやるモチベーションはなかったんです。
でも、高校に入学すると、たまたま関東大会とかにも出場していた子が同じ学校だったんすよ。たまたま見かけて話した時に、向こうも僕を知っていてくれていて。「卓球部入るの?」みたいな会話になって、「お前が入るんだったら入ろうかな」みたいな感じで、結局卓球部に入ることになりました。卓球やるんだったら本気で頑張るかということで、高校でもまた頑張るって感じでしたね。
高校では周りに恵まれたこともあって、3年生の時にダブルスでインターハイに出場できました。全国大会に出ることを目標にしていたので、とても嬉しかったです。本当に周りに恵まれていたと思いますね。
成績出始めた大学時代 コーチとして歩んだ社会人生活
―大学時代はどう過ごしていましたか?
櫻井 高校時代に全国大会出場という目標を達成したので、高校卒業するときには割と卓球に対する熱は冷めている状態でした。進路について迷っていたときに、高校で卓球部に誘ってくれた子と「大学とかどうするの?」みたいな話をしていたら、「大学は埼玉工業大学に行くよ。卓球強い大学だよ」って教えてくれて。「そうなの!俺もそこ行くわ」みたいな感じで、高校の時と同じようにその子についていきました(笑)。
大学では4年生くらいの時に実績が少し出始めました。それまでは個人戦では結果が出ていなかったのが、4年生の後半で実績が出始めて、いい成績を残せるようになってきたな、というところで大学卒業になってしまいました。
―そこから社会人生活に突入することになります。どんな思いがありましたか?
櫻井 せっかく大学でもいい成績が残せるようになってきたタイミングで社会人になるとなったら、少し不完全燃焼な気持ちはありました。それで、当時お世話になっていた埼玉工業大学のOBの方がいらっしゃった信用金庫があったんですけど、そこには実業団チームがあって、そこに入りたいと思っていたんです。ですが、当時の僕は卓球以外は全くやってきていなかったので、筆記試験で落ちてしまいました。
卓球で食べていくのか、それとも卓球をやめて普通の会社に就職するのかという人生の岐路に立たされたんですね。一般企業から内定をもらっていたんですけど、そこで仕事を続けられるイメージが全く湧かなくて。どうしようかと悩んでいるときに、自分の同期で卓球のコーチに就職する人が何名かいたので、自分も卓球コーチになりたいなと思ったりしていました。
でも、当時だと、ある程度全国で名を轟かせる実績ある人じゃないとコーチになってなかった時期だったので、「こんな自分でもコーチになれるのかな」というのは半信半疑でしたね。それでも、ダメもとで卓球場の方に連絡させてもらったら、面接をしてくれて、そこで内定もらうことができたんです。だったら自分の今まで好きでやってきた卓球の道で行こうと思い、卓球のコーチになることを決意しました。
―社会人になり卓球で生活していくことになったと思うのですが、卓球コーチとしての苦労はありましたか?
櫻井 卓球コーチは完全歩合制という形で、自分でお客さんをしっかり取っていかないと給与にも反映されない、本当に自分次第という働き方でした。お客さんがつかなかったらやばいんですけど、ただ、お客さんがつけばつくほど対価も返ってくるという仕事だったので、やりがいがあると感じていました。
最初はなかなかお客さんもつかなかったんですけど、お客様視点で「何をどういうふうにしてレッスンほしいか」を考えるようにしていった結果、お客さんも少しずつつくようになっていきました。
その流れで、卓球場としてYouTubeも始めるようになりました。卓球のコーチングの30分から40分ある細かく掘り下げた内容の動画を、「細かいところを全部見せていこうよ」っていうスタンスで公開していきました。当時はまだ卓球場としてYouTubeをやっているところは少なかったので、名前が少しずつ広がっていってくれたのでよかったですね。そこで僕も「櫻井コーチ」として出演して、名前がある程度広がってくれたので、個人チャンネルを開設する流れに繋がっていきました。
―そこから個人チャンネルを立ち上げて、どんどん大きくなっていったんですね
櫻井 そうですね。最初は練習や試合の技術解説などをアップしていたんですけど、徐々にそれだけじゃなくてネタ企画っぽいものも「卓キチ」や「さてぃお」、「わった」などと一緒にやるようになりました。卓球と何かを掛け合わせてネタでちょっと遊ぶ、みたいな企画をやったりとかしていたんですけど、当時はそれがすごく真新しかったみたいで、視聴者の方も結構食いつきが良かったんですよね。見てくれる頻度が上がっていって、それでいろんな動画を出すようになりましたね。
今はネタ企画系というよりは、どちらかというとまた解説と試合動画をメインでやるような形に落ち着いてきました。
運命の出会いからYouTubeメインの活動に
―いつ頃からYouTubeメインの活動になったんでしょう?
櫻井 3年前くらいに個人チャンネルを立ち上げた時はコーチがメインでYouTubeはサブという感じでしたが、段々とYouTubeとレッスンを半分ずつぐらいにやりたいなって思うようになっていったんです。そんな時。僕が現在会社員として所属している卓球場を運営する会社の社長さんと出会いまして、「うちに入ってYouTubeメインで好きなことやってみたら」と声をかけてくださったんです。
その方は僕が当時卓球場でやっていたYouTubeの動画をたまたま見てくれていた方で、その方の会社がずっとここ(卓球場と同じ場所)にあるんですけど、当時僕がたまたま住んでいた場所がこの卓球場の向かいだったんですよ。その当時はまだここは卓球場ではなくて、宮原駅から歩いて家に向かっていたら、垂れ幕で「卓球場オープン」って書いてあって、「え」ってなって。僕の当時の夢としては、地元に卓球場を建てたいっていうのがあったんですけど、まさか自分の地元に卓球場ができるとは思っていなくて。
とりあえず卓球場の写真を撮って、ツイッターに「卓球場を先に出された!ショックだ」みたいな感じのことを書き込んだら、卓球場の方から「宣伝ありがとうございます」っていうツイートが来て、「お礼にご飯でもどうですか」と連絡をいただいたんです。その後に、社長さんに実際に会って一緒にご飯を食べて、卓球のことだったりとか僕がやりたいことを話したりしていたら、「じゃあうちでやらないか」と声をかけていただいて。
―すごい話ですね!
櫻井 いろいろなご縁が結びついて、話が進んでいって。入社してから1週間後くらいにはもう「ユージくんの卓球場」という看板をつけてくれて。嬉しかったですね。
やはり人との繋がりがすごく大事だと思うので、イベントや講習会で全国各地に行かせていただくときには、その人との接点の部分は大事にしたいなっていうのが一番思いながら活動するようにしています。
目標は全日本マスターズの部制覇 オフラインの活動も
―今後の活動について考えていることを教えてください
櫻井 今はYouTubeをメインで3年間ぐらい活動を続けていて、登録者数4万8000人(※インタビュー時)くらいのチャンネルにはなったんですけど。今後はオフラインでの活動も増やしていきたいです。もともと僕はサーブなどを売りにして動画でも出していたので、「この武器があれば自分より明らかに実力が上の人にも勝つ可能性はあるぞ」というところを教えてあげたいです。自分の実績がなくても、そういった武器を磨いて成長していけるので。なので、オフラインの活動をちょっと増やしていきたいなというのはありますね。
あとは僕自身は30歳になって、選手として全日本選手権マスターズの部で頑張りたいという目標があります。今は全日本選手権のマスターズで優勝するのが目標ですね。選手としてまず頑張って、そこが落ち着いたらオフラインでの活動を増やしていくつもりです。
―最後に卓球への思いを聞かせてください
櫻井 今は僕自身も目標はマスターズで実績を残すことなんですけど、YouTubeを始めた当初の目標として全日本(一般の部)に出場するというものがあります。それを達成できるまでは、YouTubeの活動とオフラインの活動、選手の活動という3本を軸として活動していきたいと思っています。
卓球が好きという気持ちはずっと変わらないです。プロ選手みたいな活動はできないですけど、プロ選手じゃなくても卓球YouTuberっていう今の僕のような形でもこういう活動ができるんだよっていうのは今の子供たちに見せられると思うんですよね。「自分もいつかこうなりたい」って思ってもらえるような人物を目指していきたいと思います。
―ありがとうございました
櫻井 ありがとうございました!
関連記事
卓球との出会いは?人気急上昇中の美女卓球YouTuber「あおちゃんねる」に迫る【インタビュー前編】
「卓球以外のことも」大人気YouTuber「あおちゃんねる」が描く理想の未来とは?【インタビュー後編】
【インタビュー】大人気卓球YouTuber「卓キチ」が誕生するまで 中西淳さんの半生に迫る【前編】
PICK UPピックアップ
【インタビュー】パラ卓球日本代表監督・森薗美咲が今も選手としてプレーを続けるワケ
コラム
2022/12/29
【特集】JTTL選抜連覇!「仲良く・明るく・楽しく」をモットーに進化を続けるキヤノンメディカルシステムズ
コラム
2022/12/28
【インタビュー】パラ卓球日本代表監督・森薗美咲が目指していく未来とは
コラム
2022/12/23
【塩野真人さん監修】卓球のカットマンについて徹底解説!【練習方法からおすすめ用具まで】
技術・練習方法
2022/12/16
【インタビュー】人気卓球YouTuberユージくん 子供たちに夢を与えられる存在に
コラム
2022/12/10
【森薗政崇監修】卓球のバックハンドの打ち方を徹底解説!!【ミート打ちとドライブの種類別】
技術・練習方法
2022/12/08
【インタビュー】卓球YouTuber“わった”でラージボール王者 池田亘通が目指す大きな夢とは
コラム
2022/12/03
【インタビュー】人気卓球YouTuber「卓キチ」が活動を続ける原動力とは【後編】
コラム
2022/11/30