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  • 投稿日

    2022/10/7

  • 技術・練習方法

【森薗政崇監修】卓球のサーブのルールと打ち方を徹底解説!【コース、長さ、回転などの種類別】

 卓球のラリーで主導権を握るためには、1球目となるサーブをどのように組み立てるかが非常に大切です。一口にサーブといっても、どんなコースでどんな回転をかけるかなど、さまざまなバリエーションがあります。

 今回はそんなサーブについて、Tリーガーであり日本代表経験もある森薗政崇選手が大解剖!種類ごとの打ち方や特徴について分かりやすく解説をしていただきます。

森薗政崇 選手
解説

森薗政崇 選手

1995年4月5日生まれの27歳。東京都西東京市出身。青森山田高校、明治大学卒。BOBSON所属。中学1年から大学4年まで10年間、ドイツ・ブンデスリーガでプレーし、2018-19シーズンからはTリーグ岡山リベッツでプレー。男子ダブルス最高世界ランク1位。

目次[ 閉じる ]

【サーブ時に注意すべきこと】

 
 サーブをするときに守ってほしい基本中の基本は台(エンドライン)の外側で、手のひらを開いた状態でボールをまっすぐ16cm以上あげること。なおかつ、打つ瞬間が相手に見えるようにしてください。これは、ボールに回転をかけながらトスをあげるなどの不正を防ぐためです。

 なお、サーブのルール違反以外で失点の対象となる行動については別記事にまとめてありますので、あわせてご覧いただければと思います。

【サーブの目的】

 サーブの目的は、大雑把に分けて①「サービスエースで得点を取る」ことと②「相手にいい返球をさせない」ことの二つです。もう少し掘り下げていきましょう。

①サービスエースで得点を取る

 吉村真晴選手や張本智和選手のように強烈な回転量を誇るサーブ、もしくはトリッキーなサーブを打てれば、それだけでサービスエースを狙いにいくことができます。そのようなサーブ技術は一朝一夕で身につけられるわけではありませんが、共通していえるのは低く短く、そして自分のイメージした場所にボールを出せるのが理想です。

②相手にいい返球をさせない
 そもそも“いい返球”とは、強くて速いボールのことを指します。逆に考えると、相手が弱くて遅いボールしか返せないようなサーブを打てれば、そこから三球目攻撃を仕掛けやすくなりますよね。当たり前のようですが、これもまたサーブの目的だといえるのです。

【サーブのコース】

 ダブルスの試合ではサーブをするとき、コートの右半面に立ち、対角線上の相手コートにボールを打たなければいけないという決まりがあります。一方、シングルスではどの位置からサーブをしてもよく、相手コートのどこを狙うかも自由です。


 想定されるコースは大まかに相手のフォア側(利き手側)、バック側(利き手の反対側)、ミドル(真ん中寄り)の3種類。相手がどこで構えているか、どのコースを苦手としているかなどをプレーのなかで見極めながら、サーブを出し分けていくことになります。

【サーブの長さ】

 サーブを長く打つか、短く打つかも重要な選択です。サーブにおける長さとは、台のネットから、相手コートでボールがバウンドするまでの距離を意味します。この距離が離れていれば長いサーブ(ロングサーブ)で、近ければ短いサーブ(ショートサーブ)です。

 ツーバウンド目が台の深いところに入るロングサーブは、ボールに飛距離が出る分、スピードも威力も増します。しかし、相手にバックスイングを大きく取る余裕が生まれ、思いきり返球されてしまうリスクがあるのも事実です。

ロングサーブ

 これに対しショートサーブは、ネットすれすれの近さでバウンドするように繰り出すことで、相手に強打されにくくなるというメリットがあります。相手がツッツキなどでつないできたところをドライブで返せば、三球目攻撃が成立。サーブは“低く短く”が理想だと先ほどお伝えしたのは、このような理由からです。

 とはいえショートサーブばかり打っていると、相手もだんだん慣れ、対策を講じられてしまいかねません。例えば、相手がショートサーブを意識して前方で構えていたら不意打ちでロングサーブを打ってみるなど、長短のどちらかだけに頼らない攻め方を覚えるようにしてください。

ショートサーブ

【サーブの回転】

 コース(フォア側、バック側、ミドル)と長さ(ロング、ショート)の組み合わせだけでもサーブには6パターンあるわけですが、そこに回転という要素を加えると、可能性はますます広がっていきます。出せるサーブのバリエーションが増えれば増えるほど、相手は的を絞りにくくなるでしょう。サーブの回転は、下記の4種類に大別できます。

①前進回転サーブ

 上回転やドライブ回転とも呼ばれる、ボールが進むのと同じ向きに回転がかかったサーブです。ラケットを立て、ボールの真後ろを腰の位置で低く打つようにすると、かなりのスピードが出ます。球威がある代わりに短く打つのは難しく、自然とロングサーブになりますので、甘いコースに入って相手のカウンターをくらわないよう注意してください。

前進回転サーブ

②順回転サーブ

 回転系サーブでは、こちらがもっともオーソドックスかもしれません。ラケットの先端を落とし、面を倒して、ボールの内側をこするように打ちましょう。右利きの選手の場合、ボールには時計回りの回転がかかり、右方向へ飛んでいきます(左利きの選手だと逆方向)。これが順回転のなかでも、“順横”回転サーブに分類されるものです。

 回転の性質上、相手のレシーブは自分のバック側に返ってきやすく、三球目攻撃のシミュレーションに役立ちます。また、ボールの斜め上を切ると“順横上”回転サーブに、斜め下を切ると”順横下“回転サーブに派生。いずれも横回転が加わることでボールの推進力が失われ、サーブを短く打ちやすくなるのがメリットです。これら3種類の順回転サーブを同じようなフォームで打ち分けられれば、相手を翻弄できること間違いありません。

順横下回転サーブ

③逆回転サーブ

 ボールの内側をこするのが順回転サーブなら、外側をこするのは逆回転サーブです。順回転サーブとは反対方向へ飛んでいくのが特徴で、やはりこれも“逆横”回転サーブ、“逆横上”回転サーブ、“逆横下”回転サーブと3つに分かれます。順回転サーブよりも使用者が少なく、相手も打ち返すのに慣れていないことが考えられるため、逆回転サーブを上手くコントロールできれば有利に試合を運べるでしょう。

逆横回転サーブ

 逆回転サーブを打つ際は順回転サーブに比べ、ラケットを深く握り込むのがコツです。エッジに親指と人差し指の間を当て、さらに親指はなるべくラケットの中心まで持っていってください。そうやって握れば、自然とボールの外側を打てるようになっているはずです。

④縦回転サーブ

 順横回転と逆横回転の中間に位置づけられるのが縦回転サーブで、主に2種類が挙げられます。一つは”下回転”サーブ。ボールの真下に回転をかけることで推進力が抑えられているため、相手が返球したときにボールが落ちやすく、強打されにくいのが長所です。相手がツッツキでしのいだところを、三球目で仕留めやすいといえます。

 もう一つは“無回転”サーブ、通称ナックル。相手が下回転と見分けられずにツッツキで返そうとすると、ナックルは下回転とは対照的に浮き上がりやすいため、そのまま自分のチャンスボールになります。ボールの真下ではなく後ろを軽く押し出すようなイメージで、なおかつ下回転サーブと一緒のフォームで打ち、相手を惑わせるのが効果的です。

【サーブのフォーム】

 長さや回転といった概念に加え、どのようなフォームでボールを打つのかどうかも当然、サーブに影響してきます。今回は代表的なフォーム5種類を取り上げてみましょう。

①YGサーブ(通称YG、ヤンジェネ)

 YGとはYoung Generationの略で、欧州の“若い世代”の選手たちが使用していることが名前の由来。逆横回転サーブの亜種で、打ち方がやや特殊なことから、上級者向けとして知られています。

 具体的には肘を高く上げ、手首を内側にひねってから外側へ一気に返すのがYGサーブです。通常のサーブよりもボールに強烈な逆回転がかかり、相手のレシーブが自分のフォア側に返ってきやすいため、三球目を強打し得点しやすくなります。言葉にするのは簡単ですが実際に打つのは難しく、プロでも使いこなせるとは限らないサーブなだけに、マスターできれば立派な武器になるでしょう。

YGサーブ

②巻き込みサーブ

 ボールトス直後にバックスイングを取り、ボールの外側をこすりながら、文字どおり自分の体に巻き込むようにして打つ逆横回転のサーブです。打つ瞬間にラケットの面の向きを微調整すれば、ほぼ同じ動きで逆横上回転にも逆横下回転にも変化させられるため、相手はどんなサーブが来るのか判断しにくくなります。サーブ後は、腰の回転を活かしてすぐに正面を向くことができ、相手のレシーブに備えやすくなるのも利点です。

巻き込みサーブ

③しゃがみ込みサーブ(トマホークサーブ)

 台に向かって体をまっすぐ構え、トスしたボールが落ちてくるのに合わせて自分も腰を落とし、ラケットを振り抜くサーブ。海外だとトマホークサーブとも呼ばれています。しゃがみ込む力をボールに伝えることで威力を高められるため、小学生を中心に使用者が多いものの、動作が大きい分、長短のコントロールが効きにくいというデメリットも覚えておきましょう。

しゃがみ込みサーブ

④投げ上げサーブ(ハイトスサーブ)

 冒頭でルール紹介したように、卓球のサーブではボールを16cm以上あげないといけません。違う見方をすれば16cm以上ならどれだけ高くトスしてもOKなので、しっかりコントロールできるなら、重力を利用してサーブのスピードや回転をアップさせるのも一手です。いきなりトスの高さを変えたサーブを打つことで、相手のタイミングをずらせるという側面もあります。

投げ上げサーブ

⑤バックサーブ

 バックハンドで繰り出すサーブです。体の正面で打つため、フォアサーブに比べてボールをコントロールしやすく、サービスエースや三球目を狙う攻撃マンよりは、ラリー主体で戦うカットマンに人気があります。かつては主流でしたが現在は使用者が少ないので、他のフォアサーブでは思うように得点できないときなどに繰り出してみると、相手の隙を突けるかもしれません。

バックサーブ

【サーブの練習方法】

 最後に、ここまで紹介してきたサーブをどのように習得すればいいのかアドバイスしていきます。

 まず練習中は、ボールをカゴなどに入れ、自分と台のそばにたくさん準備しましょう。サーブという技術は、トライ&エラーを繰り返しながら体に感覚を染み込ませていくものです。一回一回、何度も何度も、「自分は今このサーブを練習しているんだ」と頭のなかで唱えながら練習してください。漠然とサーブを打ち続けるだけでは何の意味もありません。

 ときには台を取っ払い、床に向かってラケットを振ってみるのもいいでしょう。台があるとどうしても、自分が練習したいサーブのことより、とにかくネットを越えるボールを打たなくてはと意識してしまいがちです。そうではなく、台がないところでボールに回転をかけてみて、ちゃんと自分が思ったとおりの軌道を描くかどうか確かめることをおすすめします。

【まとめ】どんなサーブを打ちたいかを考えて練習することが大切

 いかがでしたか?今回は男子日本代表・森薗政崇選手の解説による、卓球のサーブの打ち方をお届けしてきました。

 繰り返しになりますが、サーブの目的は「サービスエースで得点を取る」ことと「相手にいい返球をさせない」ことの二つです。目指すプレースタイルから逆算すると自分はどんなサーブを打つべきなのか、この記事を参考にしながら練習に励んでくださいね。

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