2022年12月17日、神奈川県横浜市・横浜武道館で行われた2022年度JTTL選抜・全国チャンピオン卓球大会。昨年に続き女子の部で優勝を果たしたのはキヤノンメディカルシステムズだった。
ミングルス編集部では、11月にキヤノンメディカルシステムズ卓球部を取材。抜群のチームワークと仲の良さを武器に、大会連覇を果たしたチームの裏側や、今後の目標、選手たちがどんな思いで卓球に取り組んでいるかなどについて深掘りしていく。
- 目次
- コロナ禍でも自主的にオンラインミーティング開催
- 会社からの応援も支えに「一体感が強みになっている」
- 「独自の立ち位置を」目標は実業団選手権ベスト8
- コーチ・各選手のコメント
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コロナ禍でも自主的にオンラインミーティング開催
卓球部創部49年の歴史を持つキヤノンメディカルシステムズは、JTTL卓球選抜大会でも通算9度の優勝を誇る強豪実業団チームだ。「仕事と卓球の両立」をスローガンに掲げるチームのメンバーは、普段は社内でしっかりと働き、平日夜など限られた時間の中で集まり、日々成長を目指して練習を続けている。
練習環境がなかなか整わない中でも全員が力を発揮し、大きな大会でもしっかりと結果を残しているキヤノンメディカルシステムズ。いったい何がチームの強さの秘訣なのだろうか。
「チームワークがすごくいいです。誰かに依存してプレーするというわけではなく、個人個人がしっかりと考えて行動できるというのが強みかなと思います。それがプレーの中でも大事な時に出てきますし、お互いがいい形で協力しながらチーム一丸となってやっていけています。そこがチームの良い部分だと思います」
そう語るのは飛永亜希監督だ。2021年まではチームの大黒柱としてプレーし、今年の1月から正式に指揮官に就任した飛永監督。「素直な選手が多く、みんなが純粋に『この会社でいいチームを作っていきたい』と思ってくれているからこそ、うまくいっているのだと思います」とチームがうまくいっている理由について笑顔で話してくれた。
キヤノンメディカルシステムズ卓球部のモットーは「仲良く・明るく・楽しく」だ。週2回行われている練習の中でも、選手同士が積極的にコミュニケーションをとる姿が多く見られ、楽しく卓球をしているのが印象的である。
「大学まで違う環境でプレーしてきた選手が集まっているので、その分価値観や考え方も違います。そういった中で、卓球も仕事も『仲良く・明るく・楽しく』できるチームを目指していくことを常に意識しています」と林めぐみキャプテンは話す。
練習時間は週2回と限られているので、その他の時間で工夫をしてコミュニケーションを取るようにしている。
「コロナ禍ということもあり、みんなで集まる機会が減っていて、コミュニケーション不足を感じていました。コミュニケーションが不足するとチームとしてのまとまりもなくなってしまうので、ミーティングを行うなど、みんなで話す機会をつくるようにしました。みんなが意見を話してくれることで、自分では気づけないような新たな発見もあるので、非常にありがたいです」(林キャプテン)
練習後やプライベートでのチームメイト同士の交流は多く、コロナ禍で外出ができない時でも、メンバー全員でオンラインミーティングやオンライントレーニングを欠かさず行い、コミュニケーションを取り続けてきた。それがチームワークの良さに繋がり、チームの強みとして生かされているに違いない。
会社からの応援も支えに「一体感が強みになっている」
もう一つ、チームにとって大きな支えになっているものがある。会社からの応援だ。京都の大学出身で、入社2年目の赤川真生は「学生時代に大会を見に行った時、キヤノンメディカルシステムズの応援団の雰囲気や一体感がいいと思い入社を決めた」と話す。
「会社がすごく応援をしてくれていて、温かい環境でやらせてもらっています。選手の一体感だけではなくて、会社としての一体感みたいなものが強みにもなっていると思います」と飛永監督。
「コロナ禍で社員の方が応援に来られなくなってしまったんですが、(以前は)全国に支社支店があるので、地方でも試合のときには必ず皆さん駆けつけてくださっていました。本当に会場で一番大きいご声援を送ってくださるので、それがまた力になったり、職場でも声をかけてもらったり。『見てるよ』『応援してるよ』と声をかけてくださるのがすごくありがたいことですし、それに応えたいと選手が思い、頑張ることですごく良い作用が生まれているなと思っています」と会社への感謝を口にする。
先日のJTTL卓球選抜大会の優勝についても、「優勝へのあと一押しにつながったあたたかいご声援を送ってくれた皆さまに心から感謝しています」と温かい声援への謝辞を残している。
「独自の立ち位置を」目標は実業団選手権ベスト8
JTTL卓球選抜大会で2連覇を果たしたキヤノンメディカルシステムズ。さらなる高みの先に見据えるのは「実業団選手権ベスト8」だ。日本卓球リーグ所属のチームなども参戦する実業団選手権は非常にレベルの高い大会だが、今のチームにとっては届かない目標ではない。
「今年の全日本社会人選手権ではベスト8決定戦でDENSO(日本卓球リーグ所属)にあと一歩のところで負けてしまいましたが、競ることができました。(実業団選手権ベスト8の)チャンスはあると思います」(小村歩未)
「選手層が厚くなっていて、質の高いプレーができるようになっている。もっと上も目指せると思うので、持ち味を出しながら頑張りたい」(鳥屋真帆)
と選手たちも自信満々だ。
「実業団選手権でベスト8に入り、独自の立ち位置を確立したいと思っています」と飛永監督。「卓球でも仕事でも活躍して、会社に貢献する。そこの軸はぶらさずにやっていきたいです。仕事でも卓球でも自分たちの目標を達成して、二足のわらじで頑張っている選手たちの姿をしっかりと見てほしいです。そこで会社と卓球部で高め合いながら相乗効果で高みを目指していきたいなと思っています」と指揮官は闘志をみなぎらせる。
「仲良く・明るく・楽しく」のモットーを胸に、キヤノンメディカルシステムズは進んでいく。
コーチ・各選手のコメント
【井手口裕史コーチ】
このチームは全員が明るくて仲が良く、限られた時間の中でもしっかりと練習をこなし、成長しています。他のどのチームと試合をしても戦える力があると思うので、チーム一丸となって結果を出していきたいです。チームの一番の目標である「全日本実業団ベスト8」に向け、限られた時間の中で切磋琢磨できていると思います。ベスト8入賞というのは一筋縄では行かないですが、どのチームと試合をしても戦える力があると思うので、実業団に向け準備していきたいと思います。
【林めぐみ】
「実業団選手権ベスト8」という目標に向けてそれぞれの個性を最大限に活かせるようキャプテンとしての役割を果たしていきたいと思います。個人としては、社会人になってから全国大会のランキングに入れていないので、ランキングに入れるように頑張ります。
【鳥屋真帆】
キヤノンメディカルシステムズらしいプレーができれば、全日本実業団ベスト8を達成できると思いますので、全員で切磋琢磨して力を発揮できるよう頑張っていきたいと思います。
【小村歩未】
自分の武器はピッチの速さと、あまり試合でも緊張しないメンタルの強さです。チームとしての目標はもちろん、個人としても全国大会でランキングに入れるように頑張っていきたいと思います。
【鎌田那美】
チームの目標達成に貢献できるようにしたいですし、個人的には全日本は勝ち進んだことがないので、そこで活躍して勝ち上がれる選手になりたいなと思っています。
【老松美空】
このチームは明るさが強さに繋がっていると思います。試合会場でも一番明るく楽しそうに卓球をするのがキヤノンだと思うので、そこが勝利の秘訣だと思います。個人の目標としては、まずは予選を突破して全国大会に出られるように頑張りたいです。
【熊中理子】
今はチームで一番年下なのですが、来年は後輩も入ってくるので今以上に責任感を持ってプレーしないといけないと思っています。また、チームの目標である実業団選手権ベスト8を達成できるように、しっかりと準備していきたいと思います。
【赤川真生】
チームとしての一番の目標は、全日本実業団ベスト8、個人としては種目問わず全国大会出場です。目標達成できるように、責任感を持ち、チーム力をあげていけるように頑張りたいと思います。
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